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今宵、あなたと。

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癒しの手

ハデコレブログ開設!
いえ、このブログは少し前から使っていたのですが、ほら。
公開は初めてです。

どうぞよろしくお願い致します。

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

《癒しの手》


今日も一日頑張った。
たくさんたくさん、頑張った。

「まぁ、薬師として当たり前のことをしただけなんだけどね。」

独り言ちて、手を見つめる。

「うーん、やっぱりみっともないかも。」

薬師の手はいつも傷だらけ。
薬草を採る時に傷めることもあるが何よりの原因は消毒液だろう。
病や怪我で弱っている患者さんたちには、少しの油断が命取りになる。
彼らに触れる薬師の手が不衛生ではお話にならないから、私たちは自らを徹底的に消毒するのだ。

「……はは、ガサガサでボロボロね。」

ほんの少し自嘲気味に笑いながら、月明りに手を透かす。
薬箱を背負ったまま井戸の縁に腰を下ろしたコレットの脳裏を、ディオニュソスの宴会で出会った女神の姿が過った。
氷の結晶をモチーフにした美しい衣装と隠し切れない品の良さ。

「どなた、なんだろう。」

氷の女神ヘカーテ様か、それとも別の方なのか。
ハデス様と親しく話すご様子は本当に綺麗で。
桃色の花弁が清らかな霜に覆われている、そんな風情の女神様。

「真っ白な手、だったな。」

新雪のように白く柔らかそうな手。
なんだか少し、胸のあたりが苦しい。

「うー……」

オリーブ油に蜜蝋、蜂蜜。
手荒れの薬はあるけれど、でも。
私はやっぱり。

「薬師の手、は……こうでなくちゃね!」

ハデス様の薬師だもの。

「よしっ、ハデス様の往診に行くぞ!」

ぱんっと頬を叩いて立ち上がり、井戸へ飛び込――――

「ハデス様?!」
「遅いから迎えに来てやった。」

射干玉の黒髪に降り注ぐ月。
きっとこの世にハデス様以上の美神なんていない。

「なにを、見ていた?」

驚き固まるコレットの手を取り。
ハデスはかさついたその指先を己の唇に当てる。

「あー、えっと、その……月?」

嘘が下手なコレットに微笑みかけて、ハデスは囁く。
愛し気に。

「私にはこの働き者の手が好もしい。」

優し気に。
切なげに。

「――――お前の手が、よい。」

嬉し気に。


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Author:あさ
趣味で二次小説を書いております。「この世の春」管理人でもあります。

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